ナレッジマネジメントの落とし穴

       〜 ナレッジマネジメントに取り組む前にやらねばならないことがある 


今企業ではナレッジマネジメントやCRMが花盛りだが、企業内においては実際上手く行 っている所はほとんどないと言えよう。

グループウェアや文書管理システム、Webサーバー を導入し、情報共有システムを構築したとしても、実際は会議室予約やスケジュール管理だけ使われていたり、役に立たないゴミデータの山と化してしまっていることの方が多い。

いくら 成功体験やその人のノウハウ、役に立つと思われる知識や情報が共有されたとしても、実際にそれを読んだ人間自身の物の見方や考え方、問題解決能力がなければその情報を活かすことはできない。成功体験は、その人自身が真剣に悩み、行動を起こした結果であり、それを他の人間が情報として読んだだけで、そう簡単に実現できることではない。成功に同じ成功はない。 成功してもその成功は2度は通じない。次はより大きな問題が立ちはだかっていることを忘れて はならない。 

逆に言えば、問題意識や問題解決能力が備わっていない人達が、どんな良い ツールを使おうが、回りが何を言おうが、自分自身の意識が変わらない限り価値を見出すことは難しい。 これは今までの学校教育の中で、自分自身で物を考えたり発想することの楽しさ、問題を自ら 発見し、課題を設定し、情報を集め、整理・整頓して、解決策を見出し、実行し、その活動内容 まとめ、自分の言葉で発表するといった体験や訓練をほとんど積んでこなかったことにも起因する。

現在の教育が、問題を既に与えられ、その答えのある問題を解くことに時間を費やしている限り、自分で問題を創り出すことなどできない。ましてや社会人になった暁には、自分で設定した問題は人にたよって解決してはならない。 ナレッジマネジメントだCRMだと叫ぶ前に、もっとやらな ければならないことがある。

今回の学校の新学習指導要領には、『子供たちが自ら学び、考え、主体的に判断して問題を 解決できる力(生きる力)を育成する』とある。これはナレッジマネジメントの提唱者に言わせれば、まさにナレッジマネジメントの実践だと言うかもしれないが、この言葉の中にはナレッジマネジメントなどという言葉は一切存在しない。学校教育には企業論理など必要ない。  この学習指導要領にある教育が実現できたら、かれらが実社会に出た時にはナレッジマネジメントなとという概念を知らなくとも、自由自在にインターネットを使い、情報を活用するこ とができるだろう。

今、企業に求められていることは、経営者を含め、企業に属する個人個人が自分自身に問いかけ、 自ら学び、考え、主体的に判断し、行動し、顧客の問題を解決することにより、顧客満足につなげ、 その喜びを持って自己実現とする意識改革である。



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